【看護過程とは?】現役看護学生が教える看護過程のおすすめ参考書8選

看護学生

多くの看護学生がつまずくポイント…それが「看護過程」ではないでしょうか?

私自身、記録が進まなくて提出ギリギリ…

実習中は何度も眠れない夜を過ごしました(笑)

そこで今回は、

  • ヘンダーソンやゴードンの看護過程の押さえるべきポイント
  • 自分に合った参考書を選ぶコツ
  • おすすめの参考書

この3点を中心に、わかりやすくまとめてみました。

「看護過程ムリかも…」と感じている方にこそ、ぜひ読んでほしいです。

こちらも是非
最近は実習レポートや事例集の情報もなかなか見つけにくく、「どう書けばいいの?」「目標ってどんな風に立てるの?」と悩んでいる方も多いはず。

そんな今だからこそ、私が実際に書いた実習記録やまとめ、目標例などをnoteにてシェアしています!

リアルな記録が参考になれば嬉しいので、ぜひのぞいてみてください!

目次

 

看護過程とは?

「看護過程」とは、看護師が持つ知識や経験を活かし、患者の抱える看護上の問題を明確化し、それに対して適切な看護ケアを計画・実施・評価していくための、体系的かつ組織的なアプローチのことを指します。

難しく聞こえるかもしれませんが、要は患者さんがより良い状態に進めるように、患者さんが現在どんな問題や課題を抱えているのかを探り、それを解決する為のプロセスが、看護過程なのです。

この看護過程は

①アセスメント→②看護診断→③目標設定・計画→④実施→⑤評価 

という一連のサイクルで成り立っています。

では、この一連のサイクルについて少し詳しく説明していきます。
 

①アセスメント

アセスメントとは、情報の収集・分析です。

患者や家族の訴え、検査データなどから情報を収集・分析をして、患者の全体像を把握し、

得られた情報から顕在化・潜在化している問題を明らかにします。

まぁ要は、 患者さんの状態をしっかり把握するってことですね。
 

②看護診断

看護診断とは、得られた情報から分析・データの解釈を行い、看護として解決していくべき問題(看護問題)を明らかにすることです。

つまり、患者さんが抱えている問題を見つけ出すってことですね。

看護診断名は、多くの施設でNANDA-Iのものが用いられてます。

看護問題がいくつか出てきたら、解決すべき問題に優先順位をつけ、根本原因や関連事項を明確化します。
 

③看護計画

看護計画とは、抽出した看護問題(=看護診断)の解決を目指し、目標と具体的な看護計画を定めることです。

そして、これらの計画を患者さんにしっかり説明し、同意を得たうえで実施していきます。

まずは期限を決めて目標を設定しますが、その時は患者さんの入院生活に支障をきたすことがないよう、RUMBAの法則に基づいて設定します。

RUMBAの法則

  • R(Real)→現実的
  • U(Understandable)→理解可能
  • M(Measurable)→測定可能
  • B(Behaviorable)→行動可能
  • A(Achievable)→達成可能

目標設定後は、患者さんがその目標を達成できるように、「OP(観察計画)」「TP(援助計画)」「EP(援助計画)」に分けて看護計画を立てます。

看護師は常に同じ患者さんを担当するわけではなく、交代でケアにあたることが多いため、誰が見ても分かるような看護計画を立てておくことが大切です。

そのためには、5W1Hを意識しながら、具体的で分かりやすい内容にするよう心がけましょう。

そうすることで、担当が変わっても患者さんに一貫したケアを提供することができます。
 

5W1H

  • Who→「誰が」患者さんがするのか、看護師がするのか、ともに行うのか、など
  • When→「いつ」時間、何かの後に行う、など
  • Where→「どこで」ベッド上で、リハビリ室で、廊下で、など
  • What→「何を」歩行を、筋力トレーニングを、など
  • What→「なぜ」筋力UPのため、転倒転落しないために、など
  • How→「どのように」どういった手順で、車いすはどの位置に置くか、など

 

④実施

「実施」では、あらかじめ立てた看護計画に沿ってケアを行い、その日の患者さんの様子や反応をしっかり観察・記録していきます。

この日々の記録が、次の「評価」につながる大切なステップになります。

そして、その記録方法としてよく使われるのが、SOAP(ソープ)という形式です。

それぞれの頭文字は以下の意味を表しています。
 

S(Subjective data)=主観的情報

患者さん本人が話してくれたことや訴えた症状など。

例えば

  • 「頭がズキズキする」
  • 「夜眠れなかった」
  • 「なんだか不安です」

 

O(Objective data)=客観的情報

看護師が観察・測定して得られた情報のこと。

例えば

  • 体温38.2℃、脈拍98回/分
  • 食事摂取量は半分以下
  • 表情にこわばりあり

 

A(Assessment)=アセスメント

SとOの情報から今の患者さんの状態や問題を分析・解釈します。

例えば

  • 疼痛による休息困難が見られる
  • 発熱と倦怠感から感染症の可能性あり

 

P(Plan)=プラン(計画)

今後の看護ケアの方向性や対応策を記録します。

例えば

  • 鎮痛薬投与後の効果観察
  • 安静確保と保温
  • 不安軽減のための傾聴

 

⑤評価

評価の場面では、SOAP記録やフローシートなどを活用し、実施した看護ケアによって患者さんの状態がどのように変化したかを確認します。

そのうえで、看護計画に修正が必要かどうかを判断し、必要があれば再度アセスメントから見直す、というサイクルを繰り返していきます。

このようにして、看護過程は「考えて→実施して→見直す」ことを繰り返しながら成り立っています。

実際に看護過程を展開する際には、患者さんの身体的・心理的・社会的な側面から情報を集め、それを整理・分析して、どんな看護上の問題があるのかを明らかにしていく必要があります。

とはいえ、「何をどう見ればいいのか分からない…」ということも多いですよね。

そんなときに役立つのが、

  • ヘンダーソンの『14の基本的ニーズ』
  • ゴードンの『11の機能的健康パターン』

といった「アセスメントの視点」を与えてくれるフレームワークです。

こういった指標を使うことで、情報収集の抜け漏れを防ぎながら、看護の視点でしっかりと患者さんの状態を捉えることができます。
 

ヘンダーソンの「14の基本的ニーズ」とは?

ヘンダーソンは、「すべての人が看護の対象である」と考えました。

人が日常生活を自立して送るためには、「体力」「意思力」「知識」の3つの力が必要ですが、

これらのいずれかが不足すると、自立が難しくなり、看護の援助が必要になると述べています。

そのため、不足している部分を明らかにし、看護師がサポートすることで、

その人らしい生活の自立を目指すことが、ヘンダーソンの考える看護援助です。

そしてヘンダーソンは「人は誰でも基本的なニーズ(欲求)を持っている」とし、

援助が必要な人に共通する14の基本的ニーズに対応するかたちで、14の看護的要素を提唱しました。

さらに、看護の対象となる人の状態を理解するためには、

  • 年齢・性別・性格・家庭環境といった「常在条件」
  • 現在の病状や合併症、治療方針、検査結果などの「病理的状態」

も一緒に考慮することが大切だとしています。

つまりヘンダーソンの理論は、「その人にとって何が不足しているのか」「なぜそれが起こっているのか」を把握し、それに対してどんな援助が必要かを考えるための視点を与えてくれるのです。
 

〈14の基本的ニードとそれに対する看護の要素〉

 

ヘンダーソンの看護過程の考え方のポイント

  • ニードが充足しているか、未充足なのかを判断し、未充足に対して体力・意思力・知識の欠けている部分を補う為の看護援助を行う
  • その結果、どの程度まで自立を取り戻したかを評価する
  • 患者さんを知り、習慣や希望を取り入れることで自立への意欲が高まる

 

ゴードンの「11の機能的健康パターン」とは?

ゴードンは、患者さんの健康状態を「11の機能的健康パターン」に分類して評価するというアセスメント方法を提唱しました。

この11のパターンに沿って情報を集めていくことで、患者さんの心身の状態や生活背景などを、バランスよく・客観的に捉えることができるようになります。

また、こうして整理された情報をもとにすることで、より的確な看護診断や、実践的な看護計画の立案にもつなげやすくなるのが特徴です。
 

〈ゴードンの11の機能的健康パターンの分類〉

ゴードンの枠組みは、複雑な情報を整理するのにとても役立つので、実習や国家試験対策の場面でもよく使われています。
 

看護過程の本を選ぶポイント

ここまで「看護過程とは何か」について説明してきましたが、

実際に記録を書く段階になると、「何から書けばいいのか分からない…」と悩む方も多いのではないでしょうか。

特に初めて取り組むときは、難しく感じるのも無理はありません。

そんなときは、看護過程の展開例が載っている参考書を使って、

「こういうふうに書けばいいのか!」というイメージをつかむところから始めるのがおすすめです。

とはいえ、「看護過程の本」と一口に言っても、その内容や構成はさまざま。

自分に合った一冊を選ぶためには、以下のポイントを意識してみましょう!
 

① 展開例が豊富に載っているかどうか

実際の患者さんのケースをもとにした看護過程の展開例が多く載っている本は

記録を書くときの参考になりやすく、初学者でもイメージを掴みやすいです。
 

② 解説がわかりやすく丁寧か

「アセスメントってどうやって書くの?」「ゴードンの枠組みってどう使うの?」

――そんな疑問に答えてくれる、初心者にもやさしい説明がある本を選びましょう。

図解やフローチャートがあるとさらに良いですね!
 

③ 自分が学んでいる看護理論(ゴードンやヘンダーソンなど)に対応しているか

学校や実習先で使う評価枠組みに合った内容の本を選ぶと、実践での活用度も高まります。

――と、ここまで看護過程の参考書を選ぶポイントについて説明してきましたが

とは言え看護過程の参考書もたくさんありますし、どれを選べばいいのか迷いますよね?

そこで今回、看護過程の展開の例が記載されている参考書のなかで、私がおすすめしたいものを、いくつかご紹介させていただきたいと思います!
 

当サイトのおすすめ参考書8選

病期・発達段階の視点でみる 疾患別看護過程

  • 解剖生理から疾患の基礎知識の理解、ヘルスアセスメント、看護過程の展開まで、一連を解説
  • 実習・演習でよく出合う疾患を網羅し、病期や発達段階の視点を盛り込みながら解説
  • 根拠が丁寧に書かれていてわかりやすいの声が多数
  • かわいいイラストやマンガでポイントが書かれており、内容が理解しやすく活用しやすい
  • 私個人の感想ですが、いままでみた看護過程の参考書のなかで一番アセスメントが具体的で、参考になりました!

※同シリーズには、発熱や呼吸困難などの症状について詳しく書かれた「アセスメント・看護計画がわかる 症状別看護過程 第2版」もあるので、気になる方はぜひこちらもどうぞ!

基礎と臨床がつながる疾患別看護過程

  • 実習でよく出会うであろう疾患ごとに、看護過程が展開
  • 24の疾患に関する基礎知識から、その疾患に合わせた具体的な情報収集のポイント、アセスメント、看護診断、計画立案、経過記録が記載
  • 事例に合わせて看護過程が展開されており、どのように記録すればいいのか悩んでいる方にとっては、具体例として参考にできる為、おすすめ。
  • かわいいイラストやマンガでポイントが書かれており、内容が理解しやすく活用しやすい

※同シリーズには、「基礎と臨床がつながる疾患別看護過程 Part2」もあるので、気になる方はぜひこちらもどうぞ!

事例で学ぶ看護過程 第2版

  • いくつかの事例をもとに、看護過程が展開
  • ゴードンの11機能的健康パターンを書きたい看護学生におすすめ
  • PART1は、総論「看護過程を学ぶ」「成人看護学」「精神看護学」で構成
  • PART2は「小児看護学」「母性看護学」「老年看護学」「在宅看護学」「地域看護学」で構成されており、領域別の実習でも役立つ事例が満載

根拠がわかる疾患別看護過程(改訂第3版)

  • 教科書として使っていることも多い、南円堂出版の参考書
  • 実習でよく出合う78疾患について,看護過程の展開に必要な医学的知識,病期・治療に沿ったアセスメント,看護計画とケアの「根拠」「留意点」がますます充実
  • 「関連図」では発症から病態生理学的変化,治療経過,看護問題の抽出までを図式化し,患者の経過が一目でわかる

※同シリーズには、発熱や呼吸困難などの症状について詳しく書かれた「根拠がわかる症状別看護過程(改訂第4版)」もあるので、気になる方はぜひこちらもどうぞ!

実習記録の書き方がわかる看護過程展開ガイド 第2版

  • 看護過程の展開を、ヘンダーソン、ゴードン、NANDA等の主要な理論・枠組みでわかりやすく解説
  • 情報収集から解釈・分析、関連図、看護計画、サマリーまで、実習記録の書き方のポイントがわかる

※地域・在宅、成人(急性期・慢性期)、老年、小児、母性、精神の各領域の特徴をふまえた看護過程を参考にしたい方はこちら!

看護学生のための疾患別看護過程

  • 事例に基づく疾患の理解から看護問題の立て方や考え方、根拠までしっかりと記載されており、わかりやすい
  • カラーつきで、かわいいイラストなども載っているので見やすい
  • No.1では「呼吸器の疾患」「循環器の疾患」「血液・造血器の疾患」「脳・神経系の疾患」「運動器の疾患」について
  • No.2では「消化器系の疾患」「腎・泌尿器の疾患」「内分泌/栄養・代謝系の疾患」「膠原病・免疫疾患」「乳腺および女性生殖器の疾患」について

記載されており、2冊あれば実習で出会うであろう大体の疾患をカバーできる

こちらも参考に!他にも役立つオススメの参考書!

ここからは「看護過程」の中でも、「関連図」や「看護診断」など、より特化した参考書についてもいくつか紹介させていただきます!

エビデンスに基づく疾患別看護ケア関連図 第3版

  • シリーズ累計40万部のロングセラー 待望の改訂版!
  • 臨床・実習でよく出会う25疾患について、誘因・原因から病態生理学的変化、看護ケアまでを図式化した看護ケア関連図ガイド
  • 疾患ごとに詳細な関連図が示され、病態や診断、治療法から看護ケアに至るまでの流れが一目瞭然
  • 総合的な情報提供:疾患の基本的なメカニズムから合併症、最新の治療法、効果的な看護のアプローチまで、豊富な情報がコンパクトに解説

実習でよく挙げる 看護診断・計画ガイド 第2版

  • 各領域・病棟に共通して実習先でよく出合う看護診断を60個収載!
  • どのように看護診断を挙げて看護計画につなげるのか、考え方とその流れがわかる!
  • 受け持った患者さんの看護計画を立てるとき、実習記録を書くときに何度も役立つ!

まとめ

ここまで看護過程の参考書について、いくつかご紹介してきましたが、

「これなら使ってみたい!」と思える1冊は見つかりましたか?

看護過程は、患者さん一人ひとりに合った“より良い看護”を提供するために欠かせない大切なプロセスです。

だからこそ、自分に合った参考書を見つけて、少しずつでもしっかりと理解を深めていくことが大切です。

苦手意識を持たずに、あなたのペースで学んでいきましょう。

参考書が、きっと心強い味方になってくれるはずです◎