多くの看護学生がつまづくのが「看護過程」ですよね~。
私も苦戦して記録が進まず、実習中なかなか眠れませんでした(笑)
なので今回は、ヘンダーソンやゴードンの看護過程の展開についてのポイントと、参考書を選ぶ際のポイント、おすすめの参考書をご紹介しますので、是非参考にしてみてください!
気になった方は是非見ていってください!
目次
看護過程とは?
「看護過程」とは、看護の経験や知識をもって患者さんの看護上の問題を明確にしそれを解決するよう計画した看護ケアの実施、評価するための系統的・組織的な活動のことです。
難しく聞こえるかもしれませんが、要は患者さんがより良い状態に進めるように、患者さんが現在どんな問題や課題を抱えているのかを探り、それを解決する為のプロセスが、看護過程なのです。この看護過程は
①アセスメント→②看護診断→③目標設定・計画→④実施→⑤評価 という一連のサイクルで成り立っています。
この一連のサイクルについて少し詳しく説明していきます。
①アセスメント
アセスメントとは、情報の収集・分析です。患者や家族の訴え、検査データなどから情報を収集・分析をして、患者の全体像を把握し、得られた情報から顕在化・潜在化している問題を明らかにします。
②看護診断
看護診断とは、得られた情報から分析・データの解釈を行い、看護として解決していくべき問題(看護問題)を明らかにすることです。
看護問題がいくつか出てきたら、解決すべき問題に優先順位をつけ、根本原因や関連事項を明確化します。
③看護計画
看護計画とは、看護問題の解決を目指し、目標と具体的な看護計画を定めることです。
まずは期限を決めて目標を設定しますが、その時は患者さんの入院生活に支障をきたすことがないよう、RUMBAの法則に基づいて設定します。
RUMBAの法則
- R(Real)→現実的
- U(Understandable)→理解可能
- M(Measurable)→測定可能
- B(Behaviorable)→行動可能
- A(Achievable)→達成可能
目標設定後は、患者さんがその目標を達成できるように、「OP(観察計画)」「TP(実施計画)」「EP(指導計画)」に分けて看護計画を立てます。
いつも一人の看護師がずっと同じ患者さんをみるわけではないので、他の看護師さんが受け持った際にも同じようなケアができるように、誰が見てもわかるような、5W1Hを意識した、詳細な看護計画を作成するように注意しましょう。
5W1H
- Who→「誰が」患者さんがするのか、看護師がするのか、ともに行うのか、など
- When→「いつ」時間、何かの後に行う、など
- Where→「どこで」ベッド上で、リハビリ室で、廊下で、など
- What→「何を」歩行を、筋力トレーニングを、など
- What→「なぜ」筋力UPのため、転倒転落しないために、など
- How→「どのように」どういった手順で、車いすはどの位置に置くか、など
④実施
実施では、立案した看護計画に基づく看護ケアを行い、患者さんの反応を日々記録し、次の評価に繋げます。
この日々の記録がSOAPです。
⑤評価
評価では、SOAPやフローシートなども活用し、行った看護ケアによって、患者さんの状態が改善したか、看護計画を変更する必要があるかなどを評価・再検討し、変更が必要であれば、もう一度アセスメントに戻り、このプロセスを繰り返します。
こういった流れで、看護過程は成り立っているのです。
実際に、看護過程を展開するうえでは、患者さんの身体的・心理的・社会的な側面の情報を収集・分析し、健康上のどんな問題があるのか、捉えていく必要があります。
ただ、なんの指標もなく、アセスメントするのは難しいですし、どんな情報を収集すればいいのかすら分からないですよね?
そこで登場したのが、ヘンダーソンの「看護ケアの14の構成要素」やゴードンの「11の機能的健康パターン」なのです。
こういった指標を用いて、看護の視点で患者さんの状態をアセスメントするのに役立てます。
ヘンダーソンの「看護ケアの14の構成要素」とは?
ヘンダーソンは、全ての人が看護の対象であり、全ての人が持っているであろう「体力」「意思力」「知識」のいずれかが不足することにより、日常生活が自立できないと考えています。そういった不足した部分」を明確にし、看護師が手助けすることによって患者さんの日常生活を自立できるようにすることが、看護援助であると表現しています。
そして、ヘンダーソンは、人は誰もが、基本的なニード(欲求)を持っているとし、看護援助を必要とする人の14の基本的なニード(欲求)に対する14」の看護の要素を挙げています。
また、看護援助を必要とする人の基本的なニード(欲求)に影響を及ぼすものとして、年齢や性別、性格や家族背景などの「常在条件」現病歴や合併症、治療方針や検査データの所見などの「病理的状態」があると述べ、そういった影響を及ぼすものも考慮する必要があるとしています。
〈14の基本的ニードとそれに対する看護の要素〉
ヘンダーソンの看護過程の考え方のポイント
- ニードが充足しているか、未充足なのかを判断し、未充足に対して体力・意思力・知識の欠けている部分を補う為の看護援助を行う
- その結果、どの程度まで自立を取り戻したかを評価する
- 患者さんを知り、習慣や希望を取り入れることで自立への意欲が高まる
ゴードンの「11の機能的健康パターン」とは?
ゴードンは健康の視点から、患者さんを11つのパターンに分けて捉えて、アセスメントすることを提唱しています。
11つのパターンごとに患者さんの情報を収集・分類することで、患者さんの抱えている問題が客観的に捉えることができ、看護診断や看護計画に繋げることができます。
〈ゴードンの11の機能的健康パターンの分類〉
この分類に沿って情報を分類し、アセスメントしていきましょう。
看護過程の本を選ぶポイント
ここまで看護過程とは何かを説明してきましたが、まだまだよくわからない方も初めてで何から書けばいいのかと思う方は多いと思います。
そんな方は、まずは看護過程の展開が例として記載されている参考書を見てなんとなくでも良いので、こんなことを書けばいいのか~という、イメージを掴むことをお勧めします。
ただ、看護過程の本をもたくさんありますし、どの参考書がいいのか迷いますよね?
そこで今回、看護過程の展開の例が記載されている参考書のなかで、私がおすすめしたいものを、いくつかご紹介させていただきたいと思います。
当サイトのおすすめ参考書5選
基礎と臨床がつながる疾患別看護過程
- 実習でよく出会うであろう疾患ごとに、看護過程が展開
- 24の疾患に関する基礎知識から、その疾患に合わせた具体的な情報収集のポイント、アセスメント、看護診断、計画立案、経過記録が記載
- 事例に合わせて看護過程が展開されており、どのように記録すればいいのか悩んでいる方にとっては、具体例として参考にできる為、おすすめ。
- かわいいイラストやマンガでポイントが書かれており、内容が理解しやすく、活用しやすい
事例で学ぶ看護過程
- いくつかの事例をもとに、看護過程が展開
- ゴードンの11機能的健康パターンを書きたい看護学生におすすめ
- PART1は、総論「看護過程を学ぶ」「成人看護学」「精神看護学」で構成
- PART2は「小児看護学」「母性看護学」「老年看護学」「在宅看護学」「地域看護学」で構成されており、領域別の実習でも役立つ事例が満載
- 私個人の感想ですが、いままでみた看護過程の参考書のなかで一番アセスメントが具体的で、参考になりました!
根拠がわかる疾患別看護過程
- 教科書として使っていることも多い、南円堂出版の参考書
- 臨床でよく遭遇する15領域の疾患と、母性/周産期および小児領域の疾患の計64疾患に焦点を当て看護過程を展開
- 幅広い疾患の病態生理・症状・診断検査・治療・関連図・症例を通した看護過程がわかりやすく記載されているので、実習時に出会った疾患の参考にしやすい
※同シリーズには、発熱や呼吸困難などについて詳しく書かれた「根拠がわかる症状別看護過程」もあるので、気になる方はぜひこちらもどうぞ!
実習記録の書き方がわかる看護過程展開ガイド
- 看護雑誌「プチナース」で有名な照林社から出版
- 看護過程とは?情報収集やアセスメントってどうやるの?といった基本的な部分から、様々な事例に沿った看護過程の展開を、ゴードンやヘンダーソン、オレムなどの主要な枠組みで分かりやすく解説
- 情報収集から分析・解釈、関連図や看護計画、SOAPまでの一連の流れが丸ごと記載
看護学生のための疾患別看護過程
- 事例に基づく疾患の理解から看護問題の立て方や考え方、根拠までしっかりと記載されており、わかりやすい
- カラーつきで、かわいいイラストなども載っているので見やすい
- No.1では「呼吸器の疾患」「循環器の疾患」「血液・造血器の疾患」「脳・神経系の疾患」「運動器の疾患」について、No.2では「消化器系の疾患」「腎・泌尿器の疾患」「内分泌/栄養・代謝系の疾患」「膠原病・免疫疾患」「乳腺および女性生殖器の疾患」について
記載されており、2冊あれば実習で出会うであろう大体の疾患をカバーできる
まとめ
看護過程の参考書について、色々とご紹介させていただきましたが、
気になる参考書は見つけられましたでしょうか?
看護過程は、患者さんに「より良い看護」を提供する為に、必要とされるものなので、
自分にあった参考書を見つけて、看護過程のプロセスを身につけていきましょう。