今回ご紹介するのは、精神看護学。
実習でのレポート、行動計画、アセスメントなどの書き方から、おすすめ参考書まで現役看護師1年目が学生時代の記憶を公開していきます!
気になる方は是非参考にしてみて下さい!
気になった方は是非見ていってください!
このページでわかること
精神看護学とは?
精神看護学の実習内容はどんなことをする?
精神看護実習の事前学習や行動計画、アセスメントの書き方
精神看護実習の学びレポートの書き方は?
精神看護学のおすすめ参考書4選
精神看護学とは?
精神看護学って何?
看護実習には、老年期の患者を対象にする老年看護学実習や、周産期にある女性を対象とする母性看護学実習など様々なカテゴリがありますよね。
その中でも精神看護学実習とは、精神疾患を持つ患者への看護実践を目的とした実習となります。
今までの実習では骨折や肺炎など、病気がもたらす影響が身体的症状として現れるため、どんな看護を行う必要があるのか、どちらかと言うと分かりやすかったかもしれません。
しかし精神看護学実習で対象とする精神疾患の患者さんには陽性・陰性症状のように分かりやすい
症状がある方もいれば、なんでこの人は入院しているんだろう?と思うほど、一見するとなんの問題もなさそうな人もいます。
心という目に見えないものだからこその、難しさがあります。
精神看護学の実習内容はどんなことをする?
精神病棟での実習では、まずはオリエンテーションを受け、病棟な構造や特徴を知ります。
そして受け持ち患者が決まったら、普段の実習のように情報収集、ケアなど行います。
学校によっては、与薬をさせていただく機会もあるかもしれません。
精神科の患者さんは精神症状を抑えるために薬を内服する必要がありますが、人によっては内服したフリして実は飲んでないってこともあります。
口の中まで見て、しっかりと内服できているか確認することが大切です。
また、精神の患者さんは比較的自立度が高い方が多いですが、人によっては日常生活援助が必要な場合もあります。看護技術の復習もしっかり行なっておきましょう。
そして精神看護で一番大切なのは、コミュニケーションによる心理的ケアです。
精神の患者さんからすると、何気ないやりとりも意味を持つ大事なやりとりとなる為、看護師は意識的に治療的コミュニケーションをとる必要があります。
コミュニケーションってどれだけやっても正解のない、難しいものですが、実際に働く看護師さんのコミュニケーション法などみて、今後の自分の看護人生に活かせるようにできるといいですね。
精神看護実習では、他の実習と同じように毎日カンファレンスがあります。
私が実習に行った時は「精神病棟における安全対策について」「患者とのコミュニケーションで工夫していること」「受け持ち患者の関連図・看護計画」などをテーマに話し合いました。
また、カンファレンスで「プロセスレコード」をやる学校も多いと思います。
プロセスレコードについては授業でも学んだかもしれませんが、患者とのやりとりや出来事を振り返って考察し、記録することです。
プロセスレコードをすることで自身のコミュニケーションの傾向や、もっと工夫すべき点などを把握しコミュニケーション力の向上を図れるとともに、患者理解も深まります。
取り繕うことなく、自分の気持ちを素直に書き綴りましょう。
そして、精神看護実習は精神科病棟だけでなく、就労移行支援作業所などの地域福祉施設に行くこともあると思います。
精神障がいを持ちながらも、地域で生活する方たちの生活を知りましょう。
大切なことは?
精神疾患をもつ患者に対して、「この人は統合失調症だから~」といった感じに、病気をもつ者として捉えてしまいがちですが、「〇〇さん」という個人として捉え、コミュニケーションをとることが大切です。
また、精神看護実習では、「現病歴」「家族背景」「成育歴」といった情報は非常に大切です。
例えば自発的な行動がなかなかできない人がいたとします。
よく「環境が人をつくる」という言葉がありますが、自発的に行動できない理由がもしかしたら成育歴や家族背景から生じる場合もありますよね。
こういった情報を知る事でよりアセスメントが高まりますし、患者とのコミュニケーションの工夫も可能になります。
コミュニケーションの方法や技法は?
まずは患者のバックグラウンドを理解し、考慮しながら心情に寄り添って対応することが大切です。
コミュニケーションが取りにくい患者さんの中には、自分の思いが周囲に分かってもらえないと感じ、不安を抱える方もいます。
まずは患者の話を傾聴し、患者の思いを共感・受容して安心感を与えることは大切なことです。
しかし場合になっては患者の考えに否定も肯定もしない対応も大切です。
例えば妄想が強い患者の発言に共感することで、妄想がさらに悪化することがあります。
しかし否定することで患者-看護師の関係が崩れることもあります。
「私には分かりませんが、〇〇さんはそう思っているんですね」などの肯定も否定もしない姿勢が大切です。
また、沈黙を怖がらずにともにその状況を共有したり、相手の発言を繰り返し言うオウム返しも、大事なコミュニケーション技法です。
辛いの?
ものすごく話してくる患者もいれば、挨拶すら返してくれない患者もいるため、うまくコミュニケーションが図れず辛いと感じることがあるかもしれません。
私も実習で受け持った患者はこちらからの問いかけに対し「はい」「いいえ」「・・・(無言)」といった反応でしか返ってこず、悲しさや辛さがありました(笑)
しかし他の学生や指導者から沈黙をうまく活用できていないことや質問攻めになっていたことなどの助言をいただき、コミュニケーションを試行錯誤したり、患者が好むパズルを共に行い、共に楽しむといった感情的な体験を共有することで、徐々に患者との距離が近づき、最終日には「あなたが来てくれて良かった。」と言っていただけるほど、関係性を築くことができました。
コミュニケーションで悩む場面はあるかもしれませんが、指導者やグループメンバーにも助言をもらいながら試行錯誤して関係性を縮めようと工夫することで、患者-看護師の関係をより良いものに変えていくことができると思います。
ちなみに、精神病棟で働いている看護師さんは他の実習と比べ、優しく話を聞いて下さる方が多かったように思えます。
さすが心のケアがメインの看護師さんですね(笑)
実習で聞かれることは?
私の実体験としては、正直他の実習と比べ教員にも指導者にも質問されることは少なく、こちらからコミュニケーション方法を相談するぐらいのものでした。
強いて言えば疾患についてのことや、国試によく出る内容(法律関係・入院形態など)を聞かれることもあると思うので、事前にしっかり理解しておきましょう。
精神看護実習の事前学習や行動計画、アセスメントの書き方
事前学習しておいた方が良い項目
精神看護実習で、私が事前学習しておいた方が良いと思ったことは以下の通りです。
- 精神病棟の構造や特徴
- 精神看護実習でよく出会う疾患について(統合失調症、うつ病、パニック障害、気分障害など)
- 抗精神薬など、よく使われる薬剤について
- 医療保護入院などの入院形態について
- コミュニケーション技法
たくさんありますが、国試にも役立つ内容なので、コツコツ調べておきましょう。
アセスメントに必要な情報収集8項目
1.幼少期からの生活環境や生活背景、ライフイベント
幼少期からの生活環境や家族関係は、患者の考え方や人格形成に影響を与えているため、これまでの患者の背景や価値観を知ることで、より患者に合ったケアの方向性を見出すことができます。
具体的には…
- 生育歴
- 価値観
- 家族関係
- 既往歴
- 現病歴
- 病前の社会適応状況(友人、家族、職場などの人間関係)
などの情報です。
2.精神状態と症状
症状の現れ方や程度は個別的であり、患者の体験している症状や辛さについて早急に情報収集することが大切です。
実際に表れている症状を患者がどのように受け止め、理解し、対応しているかなどの情報で、今後必要な看護をアセスメントすることができます。
具体的には…
- 症状の有無と程度、及び内容
- 症状の現れる時期やパターン
- 症状の行動化の有無と程度
- 患者の症状に対する理解と対処行動
- 病識の獲得状況
などの情報です。
3.栄養と代謝
精神症状によっては食事や水分摂取を拒ぶこともあります。電解質のバランスは生命に直結する場合もある為、注意が必要です。
具体的には…
- BMI
- 血液データ(TP,Alb,Na,Cl,Kなど)
- 食事摂取状況
- 水分摂取状況
- 排泄状況(便秘、下痢)
- 体重増減の有無、程度
- 妄想などの症状の有無
- 意欲、活動状況
などの情報です。
4.活動と休息の状況
症状によって睡眠や休息、活動が阻害される場合もある為、患者の訴えや行動について十分に観察し、生活リズムを整えていくことが大切です。
具体的には…
- 睡眠や休息を阻害する症状
- 活動を阻害する症状
- 睡眠状況
- 休息を阻害する因子
- 日中の活動状況
- 疲労感の有無と程度
- 不安やストレスの有無を程度
- 治療薬とその副作用
などの情報です。
5.日常生活の自立度
患者の症状によって日常生活のどの部分が阻害されているのか、生活にどのような影響を与えているか評価し、不足している部分を補っていく必要があります。
具体的には…
- 症状の有無、程度と持続性(幻覚、妄想、意欲的など)
- 身体症状の有無、程度と持続性(バイタルサイン、身体症状、ADL、表情など)
などの情報です。
6.薬物治療の状況と副作用
薬によって体重増加、悪性症候群、便秘、ふらつきなどの副作用が出る場合もあります。その為、薬物による副作用の出現がないか、注意していく必要があります。
また精神疾患をもつ患者は、退院後も長期にわたって服薬を継続していくことが大切になります。
その為、疾患に対する理解だけでなく、服薬に対する理解や、服薬アドヒアランスに関する情報も収集していく必要があります。
具体的には…
- 副作用の有無と程度
- バイタルサイン
- 体重の変動
- 血糖値
- 薬ののみごこち
- 服薬状況(拒薬の有無、管理状況)
などの情報です。
7.家族や社会資源の状況
症状が安定し、在宅での治療に移行する場合に家族のサポートは重要な役割を果たします。
早期から家族の状況や思い、患者への支援の状況をアセスメントする必要があります。
また、家族の負担が少しでも軽減できるように入院中から、疾患に対する正しい理解や、利用できる制度や支援についての情報提供する必要もあり、家族状況の理解が大切です。
具体的には…
- 患者及び、現在の状況への家族の重い
- 患者を取り巻く家族の人間関係
- 入院までの支援状況
- 社会資源の活用状況
- 社会資源に対する知識
- 患者や家族を取りまくサポート体制
などの情報です。
8.患者・家族の希望する将来像
患者自身の将来に対する希望と、家族がもつ希望を明らかにすることで、互いの理解を深め、関わる全員が現実的な目標を持ち、納得して支えあう事ができる為、今後どうなっていきたいのかといった希望を知る事は大切です。
具体的には
- 患者や家族がそれぞれ考えている退院後の住居、サポート体制、今後の希望、希望する将来像
などの情報です。
こういった情報をもとに、患者なぜ発症に至ったのか、今どんな状況なのか、今後どういったケアが必要なのかをアセスメントしていくと良いでしょう。
行動計画の実例
行動計画も実習での悩みの種ですよね(笑)
お恥ずかしいですが、私が精神看護実習で実際に書いた行動計画をいくつかお見せするので、行動計画でお困りの方はぜひ参考にしてください。
- 患者の安全を守る為、精神科病棟の構造や安全管理の特徴を、病棟ORを通して知ることができる。
- 患者が気持ちを表出できるように、話す場所やタイミングに気をつけてコミュニケーションをとる。
- 患者が安心してコミュニケーションをとれるように、落ち着いた態度で関わり、観察・情報収集ができる。
- 病院に入院している患者との違いに着目しながら利用者さんを観察し、活動内容や生活背景などを知る。
- 精神障がいのある方たちが地域で生活していく為に、スタッフがどのような役割を担っているか知る。
下2つは地域福祉施設に実習に行った際の行動計画です。
精神看護実習の学びレポートの書き方は?
私の書き方はこう!
受け持った患者さんの電子カルテや実際に観察した結果からどんなケアを行い、どんな反応を得たのか、どうコミュニケーションを工夫していったのか、精神看護で自分が大切と思う点、難しいと思った点などをまとめていくと良いと思います。
当時の学びレポート全文紹介
精神看護実習を元に学んだことのレポート「約1,200字」です。
内容としては、下記2項目についてまとめた学びレポートです。
- 精神科病棟の実習で学んだこと
- 自己の課題
看護実習でのレポートをどうこなせばいいか悩んでいる看護学生に、リアルな内容を全文載せています。
「どう書いて良いかわからない、、、」
「時間が足りず、、、徹夜続きに、、、」
もちろんネットで調べると、、、
書き方や例文は載っていても、それだけでは書けないと悩む人もいます。
私もその一人でした。
なので、場合によっては情報を「今の実習情報」に変えながら、書いていく事で、レポートをすぐに終わらせることが出来ます。
もちろん自分の力で乗り越える事が一番いいですが、当時私の同級生で、徹夜に追われ段々と精力がなくなり、体を壊して学校を辞めてしまった人がいました。
そうなってしまっては元も子もないので、適度に自分を許し上手くやっていく事も大事だと思い、公開する事にしました。
本当に時間がなく、学業にこのままでは集中できなそうな方には特に見て頂きたいと思います。
それでは、、、看護の実践を通して学んだことを紹介していきます。
精神看護学のおすすめ参考書4選
実は学生向けの精神の本は少なく、正直教科書や授業プリントでも事足りると思います(笑)
しかし、学生向けの本もいくつか出版されており、私のオススメの参考書もあるため、ぜひ紹介させて下さいね。
精神看護実習クイックノート (プチナース)
言わずと知れた、プチナースの看護実習クイックノートの一冊がこちら。
精神看護実習に行く学生向けに、コミュニケーションの方法やよく見かける精神疾患についてなど、
実習に行く学生が知っておくべき知識がまとめられています。
分かりやすくまとめられているだけでなく、ポケットサイズで持ち運びやすいところもオススメですね。
エビデンスに基づく精神科看護ケア関連図 改訂版
こちらも知っている人が多いであろう「エビデンスに基づく~」シリーズの精神科バージョンのものです。
記録の中でも、関連図が特に苦手・・・という方は多くいると思います。
私もそうでしたが、参考にするものがない状態から始めると時間がかかりますよね(笑)
この本は精神看護学実習でよく見かける疾患(統合失調症、気分障害など)の疾患の関連図が載っているだけでなく、疾患のメカニズム、症状、検査、治療、看護まで詳しく解説されています。
現役の精神科ナースで持ってる方も多くいるようです。
関連図が苦手な人やサクっと終わらせたい方、精神の色んな疾患について勉強したい方にはオススメの一冊です。
看護師・看護学生のためのなぜ?どうして?精神看護学/在宅看護論
こちら「なぜ?どうして?」シリーズは、多くの看護学生の愛読書なのではないのでしょうか。
看護のことなら何でも知っているネコナースと看護学生が主人公が織りなす会話形式の分かりやすい参考書で、初学者や勉強が苦手な人にもピッタリです。
「精神科病棟とは」「精神疾患をもつ患者・家族との関わり方」といった内容から、精神科実習でよく見かける疾患について書かれています。
分かりやすい説明で、文量も少ないためサクっと読めますが、内容は基本中の基本のレベルのため、
精神看護を学ぶ際のとっかかりとして本を探している方にオススメです。
全人的視点にもとづく精神看護過程第2版
この本では、精神看護とは何ぞやといった基本的なことから、精神看護における看護過程の方法、アセスメントのポイントが説明されています。
また、一からアセスメントとなると結構苦戦して時間がかかりますよね。
この本では統合失調症や抑うつ障害をもつ患者など、精神看護学実習でよく出会う疾患について、
事例をもとに実際に看護過程が展開されており、どんなアセスメント、看護計画を立案すればいいのか、参考にすることができます。
アセスメントが苦手な方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、精神看護についてご紹介していきました。
是非自分にあう勉強に仕方や、レポートのまとめ方を見つけてくださいね!